
手術の日。
6時に電気が付いた。血圧と体温を測る。昨日の夜に測ってくれた方がまた来てくれた。つまり夜勤だろう。声に疲労が見える。本当にご苦労様だ。靴下と手術室に向かうための服の説明を受ける。坐薬を入れる。昨日学んだ。他の患者も同じタイミングで入れるから、トイレがバッティングする。なので少し早めにやっておいた。朝陽が眩しい。6時の朝陽は素晴らしいな。生命力を感じる。とりあえずセロトニン貯めておくか。
9時に手術に向かう。緊張してきたー!怖いけど QOL には変えられない。今までよりももっと一人旅するぞ。特に日帰り一人旅に行きたい。長時間の電車には今は耐えられないので、完治した来年はマジで毎週どっかフラッと行く。
退院したらパスタでも作ろう。
実際には9時半に手術室に歩いて向かった。親父も自分の手術のときに歩いて手術室に向かってたな。そんなことを思い出した。手術のフロアは少し寒かった。なので、タオルを掛けてもらった。麻酔の時の姿勢などのレクチャーを受ける。血圧を測る。かなり高かったが、看護師さんがここで測るとどなたも過去最高になるようですよと言っていた。そりゃそうだ。ここで高くならずにいつ高くなる。
歩いて手術室へ。映画で観るような白い廊下の先に手術室はあった。あまり機材は見ないようにした。点滴をしてるので、それが気になったが、あとはレクチャー通り横向きになり、膝を抱えて首を丸める。腰にエイムを麻酔科の先生が合わせる。プスリ。オギャー!麻酔が注入される。と同時にうつ伏せになる。忙しい。麻酔が効いてくる。じわじわと下半身が痺れる。長時間正座してるときの感覚に似てる。下半身にはある程度の感覚があったので、こんなもんですか?と聞いた。触られてる感覚はありますと言われたのでそんなもんだった。痛みはないのだが、引っ張られたり触られる感覚がある。
ここで執刀医がカーテンをバサっと開けて入ってきた。3人入ってきたと思う。バスターズだ。僕の痔瘻バスターズだ。さすがだなと思ったのは、彼らからしたら日常だから淡々と進んでいく。僕はずっと B’z のウルトラソウルを歌っていたが、今回やってみようと思っていた一人1on1をしていた。自分に対して1on1をするのだ。めちゃくちゃ気が紛れた。途中部屋の中でミスチルが流れてることに気がついた。知らない曲だった。新しめな曲なんだろう。だから僕は「名もなき詩」を歌っていた。
痔瘻摘出 done。摘出した痔瘻を見せてくれた。立派な痔瘻でしたよと先生に言われた。果たして立派とはいかに!その後どんぶらこっことベッドを移動しつつ、部屋に戻ってきた。下半身は感覚はあるが指すら動かせなかった。なんて無力なんだ。
余談だが、手術中はずっと焦げ臭かった。うちわで仰いでる人がいた。外科医は本当にすごいな。なんて技術なんだ。グッドドクターをiPhoneに入れてきたからあとで観よう。
ふと、家系ラーメンが食べたくなった。高血圧であることを打ち明けたので、減塩の食事が出てくる。僕には合わない。でもそこそこ食べた。自分の好きなものが食べられるのがいかに素晴らしいかをしっかりと体感した気がする。
手術後6時間以内に自分でおしっこをしないといけないが、今5時間ぐらい経つが出る気配がない。というかまだ麻酔が切れてないので、全然自分のもの感がないのだ。
出た!感覚が戻るとともに、いよいよ痛みが出てきた。ロキソニンは昼に飲んだが、そりゃ手術したんだから、痛いよな。
スタバに紅茶あるの知らなかった。飲みたい。食への欲望が凄いことになってきてる。
夕飯はお粥。そして結構痛い。ただ、これには慣れる必要がある。筋肉注射の痛み止めもあるようだが、結構痛いからそれは腕も痛くなり作業がしにくくなるな。とりあえずロキソニンで我慢しよう。
21:45、くー、痛みがすごくて本が読めない。一行読んで次の行に行くと、一行目を忘れてる。なので TikTok を無限に観てる。気がまぎれるな。こんな状態で明日は大のほうをするの、軽く見積もっても地獄だな。またカミソリを捻り出す感覚になるだろう。冷や汗が出る。
23時ごろに追いロキソニンしてもらった。とりあえず寝たいが痛みのせいで寝付けない。なんとか寝る。明日も大変なのだ。
深夜3時、あまりの激痛で眠れず。真っ暗は病室のベッドから見上げる天井は旅をしたときの宿の天井とは違うが、自分が生まれ変わるという意味では同じだなと考えて気を紛らわせている。